70歳現役社会
日本政府は今年2020年2月4日、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする高年齢者雇用安定法などの改正案を閣議決定しました。国会で成立すれば、2021年4月にも70歳までの就業機会の確保が努力義務となる見通しです。
すでに、65歳までの60歳を過ぎてから5年の雇用義務はすでに法律で定められて久しいですね。企業は(1)定年廃止(2)定年延長(3)再雇用制度の導入――の3つから選ばなければなりません。
今回の改正案ではさらに70歳まで延ばそうと言うことになります。総務省によると2019年の65歳以上の就業者数は892万人で過去最高を更新し、70歳以降まで働きたいと希望する60歳以上の高齢者は8割にのぼるとのことです。今後も働く高齢者は増え続ける見通しです。
年金受給の繰り下げ
年金受給を65歳前後から開始するのが普通だがこれを70歳などに繰り下げると毎月もらえる年金額が増加する、あるいは、65歳以上で一定以上の収入があると年金の受給が減額されるという制度が動き出しています。
これらの流れは、高齢化が加速する日本の年金負担を少しでも軽減しようという政府の意図に基づくものですね。高齢になっても働き続けたいという老人の希望と合致するものではあるが、何というか腑に落ちないところがあります。
余生を安穏に無職で年金生活というのが本当は多くの老人が望んでいるのではないのでしょうか? 老後の経済的な不安が背景にあるように思います。人生100年時代、老後資金に最低2000万必要だとか強迫観念のようなものがあります。
年金受給だけでは経済的に厳しいから元気なうちは働いた方がよいということではないかと思われます。核家族化が進み老人は息子や娘と同居することは特に都会では珍しく、多くの老人は最期まで自分のことを自己責任でまっとうしなければなりません。
もっと老人が住みやすい社会でなければなりませんね。お金しか頼るものがないというのが実情です。そうなると豊かな老後というよりも健康寿命が尽きるまでは働くというスタイルが当たり前になりそうです。
仕事が生きがいになっていたりならそれは幸せなことです。多くは時間を割いて労働を提供する形になると思います。規則正しい生活をする、適度な運動になるなどのメリットはありますが、余生をのんびり楽しむという主体的に老後をエンジョイするというものとは距離があるように思いますね。