癌は英語ではCancerですね。Cancerの意味はカニですね。なぜ癌=カニとなったのでしょう?
生涯に2人に1人は癌に罹患し3人に1人は癌で亡くなると言われますね。医療技術の進歩によってもはや癌は不治の病では無く早期発見すれば治癒する病となりました。
私は実は40代後半に癌を経験した人間です。今日はその体験談を少しだけご紹介したいと思います。親として子供はまだ中高校生でこれからという責任重大の時であり、仕事面でももうひと仕事という気力溢れた充実した時でした。
私の癌体験
私が罹患した癌は血液癌の一つ悪性リンパ腫です。若い人が罹患し易い白血病も同じ血液癌です。血液癌は大きく分けて3つ、悪性リンパ腫、骨髄腫、白血病です。それぞれ全体の約半分、3割、2割という分布です。
血液にはいろいろな成分が含まれていますが、悪性リンパ腫はリンパ球が癌になるものです。私の最初の症状は腹痛と下痢でした。小腸の出口付近にリンパ腫ができて腸閉塞の症状が出たわけです。
胃の内視鏡など診てもらったのですが異常なしだったのですが、腹痛と下痢が続き急に痩せてきたので近所の少し大きめの病院に通って胃カメラなど診てもらったりしますが異常なしでした。
症状が徐々に憎悪していくのと、我慢できないくらい苦痛でしたので自らその病院に入院を希望しました。数日ベッドで苦しんでいましたら院長の先生に診てもらうことになりレントゲンを撮ったところ腸に空気が溜まってるということで腸閉塞と診断されました。
腸閉塞が数日続くと腸が壊死するとのことですぐに近くの病院に救急車で運ばれました。内視鏡で注腸検査をしますと、小腸と大腸の境目の小腸側に大きなゴムボールのような塊が、内視鏡モニターに映し出されました。私も医師と一緒にそれを見てびっくりしたのでした。
すぐに手術することになりました。妻のサインが必要なので翌日妻にも来てもらって緊急手術が行われました。手術はその腫瘍を切除すべく小腸ごと約10cmくらいを切除しました。周りのリンパ腺も大きく腫れていることが事前のCTか何かでわかっていましたがリンパ切除はしなかったようです。
私はそうしたことを術後に聞いて小腸に癌できてリンパにも転移していたがリンパは切除しなかったということで、これはもう手遅れの重篤な状態なんだろうとその夜は術後たくさんの管や足を固定された格好でベッド上でほとんと眠れずに辛い夜を過ごしました。
その後、切除した腫瘍の細胞検査に1週間を要しましたが、悪性リンパ腫と確定診断されました。完治する可能性のある血液癌とのことで少しほっとしました。単身赴任していましたので自宅の地元の病院に転院しまして、化学療法の治療を受けることになりました。
日本人に割と多いタイプのリンパ腫でしたので典型的な化学療法を受けました。1泊2日入院して点滴で抗癌剤を入れる治療を6クール約半年受けました。1回目の治療後に頭髪が全部抜けてツルッパゲになりました。腫瘍マーカーで癌の状態をモニターしますが、徐々に効果が出てきまして治療が奏功したことに安堵しました。
仕事を8ヶ月休職して無事に復帰するまでになりました。化学療法は吐き気もありあまり気分のよいものではありませんが、時間がいっぱいあってのんびり過ごしました。毎日3時間くらい自宅の近くを散歩することを日課にしていました。
癌と診断された時はかなり動揺しましたね。ネットで必死に調べました。5年生存率が60%70%くらいとかを見たりしては、死というものと直面していることを実感しました。それは恐怖ということではありますが、受け止めざる得ない達観や覚悟みたいなものを感じました。
寛解という一応癌細胞が無くなった状態になって5年が過ぎ、今やすでに10年が過ぎました。徐々にあの頃の真摯な感情が希薄になってきているのが分かります。今から思うとその頃の方が毎日がキラキラとしていたかもしれません。
一度しかない人生。いつかまた死を覚悟する時が必ず来ると思います。癌体験はそんな当たり前のことを我が身のこととして実感できる貴重な経験だったように思えます。そんな経験を大切に胸の奥にしまって日々を精一杯生きて行きたいものです。
ちなみに、癌が英語でCancerカニとなったのは、一説には、古代ギリシャの著名な医師ヒポクラテスが切り取った癌をスケッチして「カニのような」と記述したことが始まりと言われているそうです。