感染症や伝染病のパンデミックが収束するためには、人類の多くが抗体を持つか、あるいは、ワクチンや抗ウイルス剤などの有効な薬剤が開発されるかのいずれかです。今回の新型コロナウイルスは症状の出ない人も感染力があるということが厄介であり急激な感染拡大を抑制することは容易ではありません。
新型コロナウイルスの感染者数は、2020年4月3日現在、世界では感染者100万人超、死者8万人超、国内では感染者3000人超、死者約80人を超えています。いまだ収束する気配は見えず、その拡大スピードが大きくどこまで拡大するか非常に危惧されています。
抗体は感染後3週間くらいでできる
この新型コロナウイルスに感染すれば、1週間前後くらいで発症して、さらに1〜2週間くらいして治癒するか重症化するパターンとなりますが、治癒した場合には感染してから3週間くらいで抗体ができていると言われています。抗体というのは、ご存知の通り、異物が体内に入るとその異物にある抗原と特異的に結合する抗体を作り異物を排除するように働く、いわゆる免疫機能の主役ですね。
感染していても症状の出ない人の割合が若い人ほど多いと言われていて、平均したら半分くらいの人は感染しても症状が出ないあるいは軽いということのようです。感染しても治癒した人はすでに抗体を有しているということになります。
抗体検査キット
日本ではPCR検査を症状の出た人や感染者の濃厚接触者に限っているので、実際の感染者数は相当に多いのではないか、公表値より何倍もいるのではないかと言われています。抗体保有者の実数を調べることが収束の目安にもなると言われています。現在、感染の有無を調べるPCR検査は多くの人が受けられるようになりましたが、抗体検査についてはようやくキットが販売されるようになりました。
イギリスなどでは抗体検査を広く実施して抗体保有者の実数を調べようとしています。抗体を持った人を特定できれば、感染者との接触機会の多い医療従事などにも有効になります。個人的にも自身の抗体の有無を確認できれば感染対策への行動が変えられますね。
YouTubeで抗体検査の話題が取り上げられています。ホリエモンの「抗体検査を受けてきました」という動画が4月3日に公開されています。 こちらをクリックするとYouTubeサイトに移行します。→ https://www.youtube.com/watch?v=vF2T-LSwneg
ワクチン開発
ワクチンや抗ウイルス剤等の薬剤の開発も急ピッチで進められています。ただ、専門家によると開発までに最低1年くらいはかかるということですし、インフルエンザと同様に、ウイルスは突然変異して変化していくので、ワクチンができたとしてもそれが有効に効くとは限らないという問題もあります。
もし、こうした有効な薬剤やワクチンが間に合わないと、多くの人が免疫を持つようになるまで収束を期待することができません。収束のためには全人口の7割くらいが免疫を持つことになるとも言われています。その場合の死者の数は相当なものになることでしょう。
BCG接種
ワクチンについて一つ興味深い話があります。BCG接種が新型コロナウイルスによる重症化抑制に有効かもしれないという仮説が提示されています。BCG接種を義務化していない国の死者の割合が多いのではという指摘があり、国内でも結核予防法の施行された1951年以前の現在69才以上の人の死亡率の高さとも関連があるのではと言われています。
例えば、BCG摂取を義務付けていないイランでは感染拡大しましたがBCG摂取を継続している隣国イラクでは拡大はありませんでした。1981年以降摂取を行っていないスペインと摂取をしているポルトガルも同様な差が見られます。また、接種を継続していた旧東ドイツと98年まででやめた旧西ドイツではかつての国境を境にして感染者数が分断されているとのことです。
BCGワクチンが膀胱癌の再発予防のために保険適用の療法として一般的に利用されています。膀胱癌を内視鏡手術により摘出後にBCGワクチンを膀胱内に注入するというものです。理由は定かでありませんが、膀胱を結核菌にさらすことで、免疫や白血球が刺激を受けて癌の再発予防に繋がるというようなことのようです。
BCGワクチンは牛から作られた結核菌をごく少量ヒトの体内に打つことで結核に対する抗体を体内に作ります。つまり少量の結核菌を人工的に接種することで、本物の結核菌に対する抵抗力を持たせるということですね。結核以外の疾患にも強化された免疫力が発揮されるとすれば、コロナ感染に対しても有効となっても不思議ではありません。
参考資料
1) Yahooニュース(4/11)「久米宏『新型コロナ』の予防にはBCG接種が効果的?」
2) Yahooニュース(4/13)「コロナにBCGは「有効」なのか?」