脳梗塞は動脈硬化が原因となって起こる脳血管疾患の一つです。脳血管疾患には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。いずれも、突然に症状が出て、死亡する場合もあれば一命を取りとめても半身付随となる場合もある重篤な病ですね。
図にある通り、日本人の死因は、1位から順に、癌→心疾患→老衰→脳血管疾患→肺炎→不慮の事故となっていまして、脳血管疾患は第4位に位置しています。
死因の主な構成割合(平成30年)

参考:「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚生労働省)
脳梗塞とは
脳出血やくも膜下出血は文字通り血管が破れて出血する疾患ですが、脳梗塞は脳血管が何らかの原因によって詰まってしまう疾患です。これら脳血管疾患のうち、脳梗塞が7〜8割を占めます。シニアにとって脳梗塞に関する知識、特に予防と対策はしっかり理解して、この厄介な病を招かないように気をつけたいところです。
脳梗塞の原因は、大きく2つに分類されます。一つはいわゆる動脈硬化が脳血管で進むことで起こるもの、もう一つは心臓の問題に由来するものです。
動脈硬化は脳血管で進むと重篤なことになります。血管壁が厚くなって血管が狭くなって詰まる(ラクナ梗塞)、あるい、コレステロール性の動脈硬化が破れて血栓ができて詰まる(アテローム血栓性梗塞)といったものがあります。
ラクナ梗塞は加齢と共にある意味老化として起こるもので、日本では、60代の15~20%、70代の30%以上、80代の半数以上が発症していると言われています。
もう一つの心臓の問題に由来するものは、主に、不整脈によって生成した血栓が脳まで運ばれて脳血管を詰まらせる(心原性脳塞栓症)というものです。
脳血管疾患は、たとえ死を免れても、半身不随や麻痺などの後遺症が残ることです。寝たきりや要介護度の高い人の多くは脳血管疾患に起因しています。
この脳梗塞の発作が起きると、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らないといった症状が現れます。こうした症状が突然現れた場合は、命の危険がありますので、すぐに救急車を呼んで専門的な治療を受けることが必要です。
また、一過性脳虚血発作とよばれる前触れのような症状が現れる場合があります。詰まった血管が血栓が自然に溶けたりして血流が回復した状態をいい、一時的に片側の視野が無くなったり、ろれつが回らなくなったり、左右どちらかの手足がしびれるといった症状が現れます。この前触れ発作後、約1割が1週間以内に本格的な脳梗塞を起こすといわれていますので、専門医を受診することが大切です。
脳梗塞の検査は、MRIやCT、脳血管造影などにより行われます。原因を特定してそれに対応した処置をすることが重要です。脳出血と脳梗塞では症状は似ていても原因が異なるので応急処置や治療法は当然異なってきます。
脳梗塞の予防と対策
脳梗塞の原因となる危険因子は、高血圧、糖尿病、高脂血症、不整脈、肥満症などです。不整脈以外は、いわゆる動脈硬化の原因と同じです。また、喫煙や飲酒も動脈硬化に悪影響があると言われていますので基本は同じです。
日常的には、血液がドロドロの状態にならないように、水分補給やオメガ3オイルの摂取により血液をサラサラに保つことが重要です。また、血栓性の脳梗塞の診断された場合は血栓を溶かす薬を服用することになります。
高齢になると喉の乾きに鈍感になってくるので、水分補給に気を付けて積極的に水分を取るという習慣が求められるようです。栄養バランスのよい食事と適度な運動を生活に取り入れる、肥満にならない、また、血圧の管理を日常的に行うことなどが大切です。