新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べる検査としてPCR検査が主に行われていますが、日本では他の国に比べてこの検査数が非常に少ないことが問題視されています。検査自体に時間がかかることが要因の一つと考えれており、迅速な検査法が求められています。
PCR検査はPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)という手法を用いて遺伝子を増殖させることを利用した検査方法です。遺伝子(コロナウイルスの場合は核酸ですが)の増殖には数時間以上の時間を要しますし、ある程度の専門性ある人が処置する必要があります。
最近、迅速診断キットの開発が進んでいるようで、2020年4月28日に国内承認申請されたというニュースがありました。
日経 2020/4/28 「コロナ簡易診断、10~15分で判定 みらか国内承認申請」
「富士レビオ(東京・新宿)は28日、新型コロナウイルスの簡易診断キットの製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。現行のPCR検査は数時間かかるが、10~15分で判定できる。検査機器が不要な使い捨てのコロナ検査キットは国内初で、2~3カ月以内に承認される見通し。5月中旬から山口県の工場で国内向けに週20万キットを量産する。」
検査判定の精度がどんなものか定かでありませんが、10〜15分で判定できるというのは非常にメリットが大きいですね。数ヶ月以内に承認される見通しということなので、6月末から7月くらいには市販されるようです。
一方、ロサンゼルス市では、全住民を無料で新型コロナ検査を実施するというニュースが2020年4月30日にありました。
日経 2020/4/30 「ロサンゼルス、全住民無料で新型コロナ検査 無症状でも」
この検査方法はおそらくPCR法と考えられますが、この検査数の日本との大差はいったいどういうことなのでしょう。
無症状で自覚症状のない感染者もいて、人に移すという厄介な性質を持つ新型コロナウイルス。その感染者数の実態を把握することは、感染爆発を抑えながら経済活動を再開させるという不可避の命題を解決する上で必須の要素のはずです。
恐らくは、国の規制やシステムの問題であり、為政者の意思決定の速度の問題でもあると思われます。今後、日本の政治のあり方が問われることになるでしょう。大きな国難には、責任感や使命感、強いリーダーシップ持った政治家が必須です。
また、サイエンスへの信頼とかいった文化的な問題もありそうに思われます。日本では、リベラルアーツすなわち教養レベルで、サイエンスリテラシーが一般に低く、サイエンスに基づいた価値判断が十分になされていないのではないでしょうか。